<講師>NPO法人ドラッカー学会共同代表 井坂康志氏
ミッキーです。
学びと感謝の希望財団主催のセカンドカーブ講座も第4期がスタートしました。
2026年も、トップバッターはドラッカー学会共同代表の井坂康志先生です。
ソフトな語り口で、大切なことを淡々と語られます。
変化の大きい時代だが、中でも一番重要なことは
「働く者の寿命が、組織の寿命を完全に上回った」
ということです。
組織が人間の寿命より長く続くなら、自分の人生を、1つの組織に預けられる。
しかし、人生百年時代では、定年後に、もう1つの人生があるほどに長い
ここで大切になるのが、「ハーフタイム」という概念
「ハーフタイム」という言葉を最初に聞いたのは…… と思って写真を探してみると、
2022年8月26日、層雲峡で行ったドラッカー合宿でした。

井坂先生は、当時この本の翻訳を終えられたばかりで、生原稿をテキストに勉強をしました。後日、翻訳出版されています。

『ハーフタイム』
ボブ・ビュフォード (著), 井坂 康志 (翻訳)
東洋経済新報社 2024/8/28
講義の後には、大雪山系黒岳にも登りました。
そもそも、層雲峡でドラッカー合宿を企画したのも、ドラッカーがコロラドの山中で、トップリーダーたちの合宿を行ったことを聞いたからです。多忙な経営者たちが、ドラッカーがいうところの「正気」に戻るためには、忙殺される日常から離れ、雄大な自然の中で、自分のミッションと向きあう静かな時間が必要と。

さて、先日(2026年2月28日)の井坂先生の講義に戻りましょう。
セカンドカーブという言葉の原典の一つとも言えるのが
チャールズ・ハンディ(英国経済学者)の著書 The Second Curve
その中に、象徴的なエピソードがります。
旅人がアヴォカ町への道を尋ねると、村人はデイヴィスバーの1つ手前で曲がればいいと答える
土地勘のない旅人は、いったんバーまで行って、戻らなければならない。
人生も同じで、後戻りができない。
あそこで、曲がっておけばよかったと、あとで後悔するだけで、やり直しはきかない。
自分が本来いくべき道への曲がり角はどこか?
それにどうやったら気づけるか?
私には「ここが、セカンドカーブへの曲がり角だ」と実感した経験があります。
一昨年、エベレストベースキャンプに到達した日の夜、高山病で死にそうになって、翌朝ヘリで下山しました。
ヘリの窓からヒマラヤの山々の絶景を眺めながら
「もう来ることはないだろう、さようならエベレスト」と思うと涙がこみあげてきました。
と同時に「これで一区切り、やるだけやった、これからまた次の人生だ」
と思うことで、達成感が寂しさを埋めてくれるようでもありました。
私は登山家ではないから、命がけでやる登山は終わり
私の本来の仕事に戻ろう。
北海道移住の覚悟を決め、帰国後すぐに大学に退職届を出しました。
井坂さんの講義が続きます。
「変化をイノベーションに変える3つの視点」として以下を挙げます。
①予期せぬ成功
②すでに起こった未来
③危機は利用しなければならない
③ 遭難しかけるという危機の中で、決断する。
① 親類縁者など誰もいない上川にご縁があって、財団を設立し移住するのは、「予期せぬ成功」
② 3年前の「セカンドカーブ」の講義をなぞったような今の姿は、まさに「すでに起こった未来」
3年後の講義は、まるで答え合わせをしているかのような、不思議な感覚に陥りました。
あれが、わたしのアヴォカへの曲がり角だった
定年まで漫然と過ごさず、自分にとって大切な道につながる曲がり角を見落とさなかったのは、
潜在意識の中に、井坂先生の講義が刷り込まれ、生きた知恵となっていたからなのだと思います。
なんとありがたいことでしょう
真の学びは、人生を導いてくれます。
それ以外にも、井坂先生から、ドラッカーの珠玉の言葉を贈っていただきました。
★「幸せな人」とは二つ以上の世界を生きてきた人である
★ 弱みの克服という無益な努力を捨て、自らの卓越した強みの上に自らを築くことが自己マネジメントの要諦
★ 人生の後半戦は、自らの価値基準を「個人の成功」から「社会への貢献」へと転換させる
と考えられると、資源とは知識・経験・美意識であり、年齢と共に増えていく
最後に、井坂先生が問います。
箱の中に大切なものが1つだけ入るとしたら、あなたなら何を入れますか?

3年前のドラッカー合宿のワークショップでもこれをやりました。
そのときに私が選んだ1つは 「物語」 でした。
セカンドカーブに上川の土地を選んだのは
大雪山麓のこの地が、ピーラーラビットの故郷である英国湖水地方に似ているから
美しいけれど、変哲もない小さな沼など、世界中どこにでもあります。
しかし、湖水地方が特別なものとなり、120年間も世界中から人々を惹きつけるのは、
そこに「ピーターラビット」という物語が付与されているからです。
大雪山にも物語を創れれば、100年自然が守られるかもしれない。そして、それが未来への希望になる。
だから私は、絵本を軸に、財団の活動に注力する。
迷わずに決断することができたのは、箱の中に「物語」を見つけたからです。
近くにロールモデルが存在してくれることの重要性も指摘されました。
井坂先生にとっては上田惇生先生。ドラッカーの翻訳者でドラッカー学会を創った方。
上田先生の素晴らしい点は、「捨てるときに未練がまったくない」ことだそうです。
自分にとって過去は、もうどうでもいい。今やっていることこそが大切なのでしょう。
そんな風に、身軽に転身できたら……
私も見習いたいと思います。
立つ鳥あとを濁さず。
最後に、あべ弘士さんの絵本を1冊紹介しましょう。

『新世界へ』
作: あべ 弘士
偕成社 2012年11月13日
大雪山をはさんだお隣の東川町で、絵本作家あべ弘士さんと写真家寺沢孝毅さんのコラボ展示をやっています。(明日3/5まで)
二人が北極や南米など世界を探検した記録を、写真と絵を対比するように展示しているダイナミックなもので、大変感激しました。

その一つ、北極のスクーバル諸島への旅で出会ったカオジロガンとウミガラスの絵本です。
あとがきに、あべさんはこう記しています。
北極はとても「生命」にあふれる地でした。
6月の絵本学会上川大会のテーマは「絵本は生命のバトン」
そして、基調講演には旭川出身の絵本作家あべ弘士さんをお招きしています。
絵本学会の申し込みは、3月中旬開始予定です。
詳しくは、第29回絵本学会大会ホームページをご覧ください
